Foujita

2018.08.15 Wednesday

 

 

 

 

 

 

 

東京藝術大学の陳列館での 1940's フジタ・トリビュート 展へ。
おそらく、卒業以来初めて大学構内へ入った。
門も変わっているし建物も変わっているしで、まるで知らない場所みたい。

 

陳列館に入るとすぐに「今、停電から復旧中ですので映像はもう少しお待ちください」と声をかけられる。
映像以外の作品から回っていたら懐かしい顔に会った。
メルボルンレジデンス(ポートジャーニー)でアシスタントをしてくれた進藤詩子さんだ。
彼女も東京とメルボルンを拠点に、国内外でいくつも展覧会をしているアーティスト。
二人でまだ冷房の効きが不十分な踊り場の長椅子に腰掛け、汗を拭きながら話した。
彼女がこらから行くニューメキシコの話。
私の母が住むカリフォルニアの山火事の話。
スタジオ探しの苦労話。
単身海外生活の不安話。
でもやっぱり "移動は希望" の話。

 

詩子さんは私がいつか言った
「どのスタジオでも入居初日には、まずその床で昼寝する。身体が場所に馴染むから」
という策を各所で実践しているらしく、“ それがとてもよく効くんです!” と話してくれた。
確かによくやっていることだけど、人に話したことは忘れていた。
数年ぶりに会って、そんな細かい話をしてくれるところがこの人の優しいところ。
ひと通り近況報告を終えた私たちは、それぞれ鑑賞に戻った。

 

小沢剛研究室の作品の脇では、研究室のひとりと思われる女子学生が友人に小声で作品解説をしていた。

「このシーンは小沢先生がね・・」

「ふだん小沢先生はね・・」

小沢さんに会ったときに報告しようと、耳をそば立ててみたけどよく聞き取れず。

それでも楽しげな声のトーンから、彼女が充実した制作活動ができているんだろうなと勝手に想像した。

 

その後、私はすぐ近くの東京都美術館で開催されている没後50年 藤田嗣治展に向かった。
“ 質、量ともに、史上最大級の大回顧展 ”は、想像以上に混んでいて、作品に沿って大勢の人の列がゆっくりと進んでいた。

私もその列に挑んだり諦めたりしながら進んでみたものの、終始ぼんやりとしてしまった。

" The War Paintings " の見え方もいつもと少し違ったような気がする。

 

数十年前に藤田が過ごした時間と、数十分前に陳列館で過ごした私(達)の時間。

その二つが起こすハレーションがあまりに激しかったせいだろうか。

 

暑くて重苦しい感覚の残る大事な一日。