続・こどもアートコース

2015.06.15 Monday


今年もこどもアートコースが始まっています。

5月も6月も定員いっぱいいっぱい参加していただき、ありがとうございました。
10人超えるとすごいですね。
私たち、先生3人はてんてこまい。
お母さん方の助けをお借りしてやっと乗り切っている感じです。

先月、私が騒いでいる男の子のマネをしていたら
幼稚園に通う姫に
「さとう先生うるさいよ」
と怒られてしまいました。
毎回、新たな課題ができますな!

課題といえば。
記録写真はプロのカメラマンさんが撮ってくれていますが、
あまりのバタバタで個人的に記録したいものを撮りこぼしています。
『爆笑落書き傑作選』(本人による解説付)として収集したいけど、
とても拾いきれないなぁ。
惜しい。

・・がんばる。







 

想像、最強。

2015.06.05 Friday


1ヶ月以上前に読んだ本だけど、いまだに残像がチラチラする。
眠る直前や、ふと無音のなかで手持ち無沙汰になったときに浮かんでくる。
 
オースターは9.11以降、“ 死にゆく男(老人) ”を主人公にした5作品を書いている。
そしてこの『闇の中の男』(訳:柴田元幸)が5作目。
原書は2008年、翻訳は2014年の出版。

 
 
私が面白いと感じる小説はたいがい、
「物語の向こうに、読者の生きている現実を浮かびあがらせ、さらに俯瞰させてくれる → 少し楽になれる」
という点をクリアしている。
 
透明度の高いレイヤーを幾重にも重ねて構成された物語。
その一番下のレイヤーに、読者自身の現実がはめ込まれることで、初めて全体像が完成する。
昔から読み継がれている物語は、どんな時代の現実も受け入れられる超精密なレイヤーで構成されているに違いない。
 
 
そしてこの作品にも、私(たち)の現実がしっかりとはめ込まれた。
むしろはまり過ぎて、俯瞰するのが辛かった。
辛すぎて思わず後ろを振り返ってしまった。
 
“どうしてガイブンが好きなんだっけ?
たぶん小学生のときに読んだ『はてしない物語』や『ドリトル先生』あたりから始まった。
見知らぬ遠い国の、遠いけどいつか行けるかもしれない国のお話を想像する楽しさと驚き。
きっとそれに引っ張られてきたんだな。

そこからずいぶん遠くへきたもんだ。
手に取る物語がこんなに変わるなんて。
私も変わった。
世界も変わった。

ちがうな。
あの頃気付いてなかっただけで、世界は何も変わっていないのかも。
昔からこんなふうに・・・。”

 
 
と、うなだれる私。
でも著者は見捨てることなく、いろんな工夫を用意してくれていた。

辛い現実から逃れることはできなくても、
辛い心情から距離をおけるような仕掛けを。


最後の著者ポートレイトを見ると、彼の声も聞こえてきそう。

「フっ。諦めやしないさ。





 





無駄に怖がらせたならごめんなさい。
愛ある作品です。

 
 
 




 
 
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