はい、名著です。
わたくしの作品集『2match』(リトルモア/2004)を、改めてちゃんとご紹介したいと思います。
タイトルにある2matchとは、白と黒、躁と鬱、光と影、といった作品の(または人間の)持つ2面性を著しています。
たとえば、りさキャンペーンのように外へ出て他人と接触を求めるバルーン作品達が白。
『良い友』(引きこもり中の親友)、『子宮に帰りたい』(子宮の形をした揺り椅子)などの作品達が黒。
当時の私は、両方を代わる代わる制作することで、精神のバランスを保っていました。
この本には作品を “いかにも” っぽく説明するのは避けたかったので解説文などはありません。そのかわりに、制作メモなどから抜き取った言葉や、制作中、キャンペーン中に浮かんだ言葉などがぽつぽつ綴ってあります。
この本の一番の特色といえば、両表紙になっている装丁。ISBNコード、バーコード、定価も両表紙に記載されています。
白の世界と黒の世界は同時に存在し、優劣は無し。
装丁を目にしただけでボンヤリと意図が通じる。
オブジェとしてもとてもよくできています。
ね? 有山さん。
(デザインは有山達也氏)
そして。
このタイトル『2match』には「too much」という言葉が隠れています。
当時「キャンキャンうるせぇなぁ」と言われながら、来る日も来る日もキャンぺーンを続けていた私は疲れが溜まり、やさぐれていました。
背負い過ぎで首を悪くし、ある朝起き上がることが出来なくなったのもこの頃です。
「もうたくさん」。
ネガティブな感情をタイトルに織り込んだことで、より一層立ち上がりのいいオブジェとなった。というのが私の感想です。
自分の中にある種の区切りのような感触がないうちは、初作品集なんて作れない。そう思っていたので、流れとしては自然なことだったかもしれません。
白と黒の世界、タイトルのダブルミーニング。2面性を肯定するこの作品集を出せたことで、その後とても気が楽になりました。
いい加減と言われようが、ひょいひょい、ひょうひょう、逃げる準備はいつも欠かさず。
今ではもう2面性どころではなく、多面体のお調子者です。
こうして第三者的に「やっぱ面白い本じゃん。」と見れるのも、時間を経たからですね。
このブログで、当時の作品を解説してみてもいいかも。と、思ってるくらいです。
さぁて、次に作品集を作るなら・・・。
写真は当時のスクラップ的なモックアップ。これが装丁のヒントになりました。
「もうたくさん。」そこからホントに始まるようです。なにごとも。