鳥の名は・・・

2017.04.04 Tuesday

 

去年の春ごろ、いわゆる電子書籍リーダーを買った。

きっかけは絶版になった本が、電子書籍になっていたから。
一年ほど使って便利に感じた点は、

暗い部屋でも明りを気にせず読めるところ。
他の荷物との摩擦を気にせずポイっとリュックに放り込めるところ。
絵の具や削った粉が付いても、ちょっと拭けば済むので作業場でも気楽に使えるところ。
あとは、海外滞在中の「なんか読みたいなあ」に対応してくれるところ。


昨年の中国成都での滞在には、電子書籍リーダーと文庫本を3冊ほどを持参した。
この3冊は読んでは誰かにあげ、また古本屋で買って、またあげて・・・というお馴染みのメンツ。
今回も帰国する直前、通訳の女子大学生Sさんに全部差し上げたら、
「りさ!わたし!しあわせです!」と言って受け取ってくれた。
私がその本を初めて読んだのも大学生時代だったことを思い出し、なんだかこちらもしあわせになった。
(ちなみに彼女は私が「バカ殿」の声真似をすると、顔を真っ赤にして涙をにじませ笑う。)

 

成都滞在も半分が過ぎた頃だったか、
文庫本を読み終わってしまった私は、試し読み版「ゴールドフィンチ/ドナ・タート」をダウンロードしてしまった。
そこから夜な夜な・・・1巻ポチ、2巻ポチ、3巻ポチ・・・
・・・気がつけば5,000円ちょい。きゃー。

 

「ゴールドフィンチ」とはカレル・ファブリティウスによって描かれた絵のタイトル。
つまりこの絵と、この絵に魅了された主人公テオの壮絶な物語。
「ゴールドフィンチ」とファブリティウスに関するエピソードはもちろん、

美術館や家具修理の作業場などの空間の描写も読みどころのひとつ。
私はよく小説や映画に「アート」が出てくるたびに、気持ちがザワザワしてしまう。(しませんか?)
でもこの小説は読み始めてすぐに、このザワザワは消え去った。
とくに終盤、画家と絵についてのテオの語りは何度か読み返したほど。
スゥーーーンという気持ちにさせてくれる。

 

ということで
成都での熱帯夜の記憶には、雪のNYとラズベガスの砂漠のイメージが混ざり合っている。

 

 

 

でもやっぱり電子書籍は実像がないのがどうも寂しい。
ひとくち食べて美味しいものは齧った断面を見たい。
美味しいお酒の色にも見とれたい。

新刊の甘いにおい。
古本の酸っぱいにおい。

ブックカバーの折ったりつけたりはずしたり。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

はいはい、適宜お好きなように。

 

 

 

 

 

 

 

 

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